地域連携ナビ

どの機関とつながると、実践が変わるか

機関ネットワーク参加と実践転換率の関係(日本支援者大規模調査・NIVR No.134より)。

「つながっている」だけでは変わらない

支援者の多くが何らかの外部機関と関係を持っています。しかし連携があっても実践が変わらないケースは少なくありません——連携の有無ではなく、連携の質が転換を規定します。

「参加しているが変わらない」問題

変わらない連携

  • 情報共有だけで終わる
  • 引き継ぎ先として使うだけ
  • 名前は知っているが使わない

変わる連携

  • 企業調整を一緒に行う
  • 定着フォローを継続的に担う
  • 実習・就業場面での実地関与

では、どの機関との連携が、実際に転換を起こしているか——大規模調査データが示す結果を見ていきます。

機関別の転換効果

出典:NIVR 調査研究報告書 No.134(2017)

1

就労移行支援事業所

転換率を17ポイント押し上げる

最も転換効果が高い。就業準備・実習支援・企業アプローチを伴う実地連携が有効。

連携を活かすポイント

単なる情報共有でなく、企業調整への同席・共同提案が効く。

2

就業・生活支援センター

転換率を16ポイント押し上げる

生活基盤と就労を一体支援。定着フォローとの継続的な接続が特に有効。

連携を活かすポイント

就職後の定着担当として最初から役割を明示する。

3

ハローワーク専門援助部門

転換率を15ポイント押し上げる

公的求人接続・企業側調整の機能。支援者が企業との交渉ルートを持つ効果が大きい。

連携を活かすポイント

就職先開拓の共同作業として関与させる。

4

難病相談支援センター

転換率を3ポイント押し上げる

医療との橋渡し。難病・慢性疾患が関わるケースで医療情報と就労支援を接続する。

連携を活かすポイント

診断書・意見書の取得ルートとして活用。

地域の連携体制と組織の課題

連携体制の整備は、個人の努力に帰せる問題ではありません。地域によって利用できる機関の種類・密度・質が大きく異なり、都道府県によって実践転換率に最大6倍の差があります(地域格差の構造)。

しかし、これを「地域格差の問題」として片づけることは、実践の改善につながりません。重要なのは組織として連携を業務に組み込む設計です。地域の資源状況に影響を受けながらも、以下は組織管理の取り組みとして進められます。

  • 利用可能な連携ルートを組織として可視化し、業務として整備する
  • 外部連携を「個人の努力」ではなく「チームの設計」として運用する
  • 管理職・組織が連携の実績を評価・支援する体制をつくる
組織設計の知識 →

連携を設計する

連携の質を変えるための考え方。ただし、組織や地域の体制に課題がある場合は一部の実施が困難になります——連携設計と組織設計は並行して考える必要があります。

1

担当ケースに関わる機関を書き出す

誰が何をしているか可視化する。機関名だけでなく「何を一緒にしているか」を明示する

2

企業調整ルートを確認する

ハローワーク・就労移行支援との連携で「企業交渉への同席」が実現できているか確認する

3

定着フォローの担当を決める

就職後の継続関与の担い手を事前に決め、引き継ぎではなく共同関与を設計する

4

連携を「引き継ぎ」から「共同作業」に変える

同席・共同提案を通常業務として組み込むには、組織として業務時間と評価の設計が必要