Ⅲ-07
収入・給付の安定設計
就労することによる収入と、障害年金・医療費助成・生活保護等の各種給付のバランスが整理されておらず、「働くと生活が苦しくなる(働き損)」という不安が就労の障壁になっている。
着眼点
問題は本人の計算能力ではなく、複雑な給付制度の相互作用を個人が把握することが現実的に困難なことにある。専門家との確認が必要な問題。
こんな場面で起きやすい
先に見えやすい文脈: 障害年金受給者 / 生活保護受給者 / 医療費助成対象者 / 難病(高額医療を継続中)
状況レベル(🟢 → 💣)
- 🟢 安定・予防: 収入と給付のバランスが整理されており、就労が経済的安定を支えている。
- 🟡 要調整: 給付への影響が不明で、就労規模を決めかねている状態がある。
- 🔴 高頻度支障: 「働き損」への不安から就労規模が過度に制限されている。
- 💣 破綻・停止: 経済的不安が就労の断念に直結している。
鑑別診断 / 問題の切り分け
このフレームを使うとき
- 主課題が「就労による収入と各種給付の整合性の確認」なら、このフレームを優先する。
近いフレームとの見分け方
- 制度的所属の整理が先に必要なら「Ⅲ-02」へ。経済不安が意欲低下の主因なら「Ⅲ-01」と合わせて確認。
具体的な取組み内容
最初にやること
- 現在受給している給付(障害年金・生活保護・難病助成等)の種類と金額を一覧にする
- 各給付の「就労による減額・停止の基準」を担当窓口(年金事務所・福祉事務所・難病相談支援センター等)に確認する
- 就労した場合の収入と給付の合計を「就労前後」で試算する
- 「働き損ゾーン」を回避できる就労規模(時間・収入)の目安を把握する
見落としやすい点
- 給付制度は改正があるため、過去の情報や伝聞に頼らず必ず担当窓口に確認する
- 試算は「現在の状態」だけでなく「症状変化で勤務を減らした場合」も確認する
設計の考え方
「働き損」の不安を取り除くことが、就労の障壁を一つ解消する。情報として整理されることで、不安が「計算可能な問題」に変わる。
外部と一緒に考える場面
- 給付・収入設計は「就職後の体調管理・職場定着」(職業的課題4・5)と連動する。就業生活支援センター(Q1転換差+16.4pt)の就労・生活一体相談(連携)が収入・給付の両面を扱える窓口として機能する。社会保険労務士が年金・医療費助成の試算を担い、ケースワーカーが生活保護との調整を担える。難病相談支援センターが難病助成と就労の組み合わせを専門に相談できる。