Ⅲ-06
実習・訓練から就業への接続
就労準備訓練・実習の経験が実際の競争的雇用への移行に結びつかず、訓練環境の中で停滞している。
着眼点
日本の支援者データ(toku18 Q1支援者の実践構造)と当事者データ(C6精神障害・C2全方位困難)が示すように、問題は「まだ準備ができていない」ことではなく「訓練から実際の就業環境への移行設計が機能していない」ことにある。この構造はIPS/SE国際エビデンスの「place-then-train(就職してから学ぶ)」と独立に整合している。
こんな場面で起きやすい
先に見えやすい文脈: 精神障害 / 発達障害 / 長期就労準備中の状態
状況レベル(🟢 → 💣)
- 🟢 安定・予防: 実習・訓練の経験が段階的な就業計画と結びついている。
- 🟡 要調整: 訓練は続いているが、就業移行の具体的な見通しが立っていない。
- 🔴 高頻度支障: 訓練が長期化し、「いつ就職できるか」の判断ができていない状態が続いている。
- 💣 破綻・停止: 訓練・実習への意欲も低下し、どこにも動けない状態になっている。
鑑別診断 / 問題の切り分け
このフレームを使うとき
- 主課題が「訓練・実習から実際の就業への移行設計」なら、このフレームを優先する。
近いフレームとの見分け方
- 就労意欲の回復が先に必要なら「Ⅲ-01」へ。制度的所属の整理が先に必要なら「Ⅲ-02」へ。
具体的な取組み内容
最初にやること
- 「いつ就職できるか」の基準を支援者・本人・施設で明確にする(具体的な指標を設定する)
- 「訓練で完璧にできてから就職する」ではなく「今できることで就職し、職場で学ぶ」という方針を確認する
- 実際の職場での短期実習(企業実習)を早期に試みる
- 訓練施設側と就職後の定着支援の継続を事前に合意する
見落としやすい点
- 訓練の長期化は「本人が準備不足」ではなく「移行設計の不在」が原因の場合が多い
- 定着支援(就業後の継続的なサポート)を訓練終了で打ち切らない。IPS原則7「時間制限なしの定着支援」
設計の考え方
日本の支援者データ(toku18)が示すQ1支援者の実践構造(早期求職・連携型支援・定着継続)は、IPS/SE国際エビデンス(RCTメタ分析:競争的雇用獲得率が従来型の2〜3倍、オッズ比3〜4)と独立に整合している。「訓練してから就職する」より「就職しながら学ぶ」という移行設計の優位性は、日本データと国際エビデンスの両側から支持されている。
外部と一緒に考える場面
- 「採用決定」(職業的課題3)への支援者データが示す最効果介入は、企業へのアプローチ(連携・効果推定-0.18)で全介入・全課題を通じた最高水準。次いで職業場面を踏まえた職業評価(連携・効果推定-0.11)が続く。Q13連携体制参加では就労移行支援(+17.0pt)> 就業生活支援センター(+16.4pt)の順。就労移行支援事業所が訓練→実習→採用の全段階を伴走できる最優先連携先。就業生活支援センターが企業へのアプローチ・採用後定着支援を担える。