Ⅲ-01
就労意欲・社会参加の再接続
困難の蓄積により就労意欲が低下し、支援への相談・求職活動・日常的なやり取りを含めた社会的な能動性が全体的に困難な状態になっている。
着眼点
問題は意志や努力の欠如ではなく、困難の重積が能動性の基盤を消耗させていることにある。意欲を上げようとする前に、困難の構造を解くことが先決。
こんな場面で起きやすい
先に見えやすい文脈: 難病(全方位困難・孤立状態)/ 精神障害 / 長期の就労断念
状況レベル(🟢 → 💣)
- 🟢 安定・予防: 就労意欲があり、困難が生じても支援者・周囲に相談できる状態がある。
- 🟡 要調整: 意欲はあるが行動に移れない状態が続いている。周囲へのSOSが出せていない。
- 🔴 高頻度支障: 就労・相談・日常活動への意欲が全体的に低下し、社会的孤立が進んでいる。
- 💣 破綻・停止: 就労を諦めており、支援機関・人との接触自体が困難になっている。
鑑別診断 / 問題の切り分け
このフレームを使うとき
- 主課題が「意欲・能動性の基盤回復と社会的接続の再構築」なら、このフレームを優先する。
近いフレームとの見分け方
- 支援機関の情報・経路が主課題なら「Ⅲ-08 支援ネットワークへの接続」へ。開示への恐れが行動を阻んでいるなら「Ⅲ-03 開示判断の設計」へ。体調悪化が直接の原因なら設計層Ⅰに戻る。
具体的な取組み内容
最初にやること
- 「就労」より前の問いから始める:「今、一番しんどいことは何ですか」
- 意欲回復の目標を「就職する」ではなく「今週、誰かに一度話す」など最小化する
- 孤立を作っている構造的原因(情報不足・経済的不安・開示困難等)を特定し、一つずつ取り除く
- 当事者同士のピア・グループや当事者会への参加が意欲回復に有効な場合がある
見落としやすい点
- 「頑張れ」「前向きに」という言葉は逆効果になることがある。「今の状態でも始められること」を一緒に探す
- 抑うつ症状が強い場合は医療的評価を先行する
設計の考え方
就労意欲の回復は「心がけ」ではなく「困難の構造を解く」ことで生じる。C2(全方位困難・就労断念型, n=380)のデータが示すこの構造は、IPS/SE国際エビデンスが「訓練準備主義への対抗」として独立に確認している原則と整合する。「意欲が回復してから動く」ではなく「小さく動くことで意欲が生まれる」という順序で設計する。
外部と一緒に考える場面
- 「障害理解・対処・職業準備性」(職業的課題1)への支援者データが示す有効介入は、障害理解・対処・家族支援(連携・効果推定-0.08)と企業へのアプローチ(連携・効果推定-0.07)。就労移行支援(Q1転換差+17.0pt)が意欲回復から就労準備への移行を伴走できる最優先連携先。難病・障害当事者の自助グループ・ピア相談が意欲回復の入口として有効な場合がある。精神保健福祉士・MSWが医療側からの接続を担える。