Ⅱ-10
情報共有の範囲設計
職場内での情報共有(誰に・何を・どこまで共有するか)の範囲が設計されておらず、過剰な開示・不十分な情報共有のいずれかによって職場適応が妨げられている。
着眼点
問題は本人の情報管理能力ではなく、「何をどこまで共有すべきか」の基準が職場に存在しないことにある。
こんな場面で起きやすい
先に見えやすい文脈: 発達障害 / 精神障害 / 高次脳機能障害
状況レベル(🟢 → 💣)
- 🟢 安定・予防: 共有範囲が合意されており、必要な情報が必要な人に届いている。
- 🟡 要調整: 共有範囲の基準があいまいで、判断に迷うことがある。
- 🔴 高頻度支障: 情報の過剰共有または不足により、職場内の誤解やトラブルが生じている。
- 💣 破綻・停止: 情報共有の問題が職場関係の悪化・業務遂行困難につながっている。
鑑別診断 / 問題の切り分け
このフレームを使うとき
- 主課題が「職場内での情報共有の範囲と基準の設計」なら、このフレームを優先する。
近いフレームとの見分け方
- 外部への開示判断(就職時・採用時の開示)が主課題なら「Ⅲ-03 開示判断の設計」へ。職場への配慮依頼の方法が主課題なら「Ⅲ-04 伝え方の設計」へ。
具体的な取組み内容
最初にやること
- 「業務遂行に必要な情報」と「プライバシーに関わる情報」を区別する基準を作る
- 共有する相手(直属上司のみ・人事・チーム全員等)の範囲を事前に合意する
- 共有した情報の取り扱い(他部署への口外禁止等)を文書化する
- 情報共有の方法(口頭・書面・会議等)と記録方法を合意する
見落としやすい点
- 「配慮のために必要だから」と判断して共有した情報が、当事者の同意なく広まることがある。同意の範囲を明確にする
- 情報共有の範囲は時間とともに変化する。定期的に見直す機会を設ける
設計の考え方
情報共有の設計は「開示させる」ではなく「当事者が共有先を選べる」枠組みを作ること。開示の選択権は常に本人にある。
外部と一緒に考える場面
- 個人情報の取り扱いは法域・社内規定によって異なる。社労士・労務担当者に確認する。就業生活支援センター(Q1転換差+16.4pt)が情報共有範囲の合意設計を企業へのアプローチ(効果推定-0.07)として担え、職場の障害理解促進(効果推定-0.08)を通じて「情報を受け取る職場側の文化」を育てることができる。