Ⅰ-06
段階的職務設計
現在の症状・能力水準と将来の変化見通しを踏まえた職務の段階的な設計ができておらず、「このまま続けられるか」という不安が就労継続を妨げている。
着眼点
問題は現在の能力の限界ではなく、現在から将来にわたる変化を前提とした職務設計が存在しないことにある。就職前の段階でも、「続けられるか」という将来設計の不在が就職活動の障壁になることがある。
こんな場面で起きやすい
先に見えやすい文脈: 難病(病状の段階的進行がある場合)/ 内部障害 / 精神障害(再発リスクがある場合)
状況レベル(🟢 → 💣)
- 🟢 安定・予防: 段階的な職務計画があり、症状変化に合わせた調整経路が合意されている。
- 🟡 要調整: 現在は安定しているが、将来の変化に対応する計画がない。
- 🔴 高頻度支障: 症状変化のたびに職務内容を一から交渉せざるを得ず、疲弊している。
- 💣 破綻・停止: 将来への不安から就職・就労継続の判断ができない状態になっている。
鑑別診断 / 問題の切り分け
このフレームを使うとき
- 主課題が「現在の状態と将来の変化を見据えた職務の段階的な設計」なら、このフレームを優先する。
近いフレームとの見分け方
- 日々の体調変動への対応が主課題なら「Ⅰ-01」へ。病状進行への「備えと合意」が主課題なら「Ⅰ-07」へ。就職前の将来不安への対応が主課題で開示問題が絡む場合は「Ⅲ-03」も合わせて確認。
具体的な取組み内容
最初にやること
- 現在できる業務・今後負荷を下げたい業務・避けたい業務を3種類に整理する
- 「段階1(今)→段階2(体調変化時)→段階3(大きな変化時)」の職務変更の筋道を事前に合意する
- 就職前の場合: 入社後の試用期間・職務変更経路を採用段階で確認・合意する
見落としやすい点
- 将来設計は「今の状態の延長」でなく「起こりうる変化の想定」が必要。主治医からの見通し情報を活用する
- 段階的な変更の合意は、口頭ではなく書面(労働条件通知書の特記等)に残す
設計の考え方
日本の当事者データ(C5型の将来不安・C1型の就職障壁)が示す構造と同じ原則を、IPS/SE国際エビデンスも「place-then-train(就職してから学ぶ)」として独立に確認している。「完璧に準備できてから就職する」ではなく「今の段階で就職しながら設計を更新していく」視点で考える。
外部と一緒に考える場面
- 就労移行支援事業所(Q1転換差+17.0pt)・就業生活支援センター(+16.4pt)が段階的職務計画の策定と企業交渉(企業へのアプローチ、効果推定-0.07)の主要担い手。障害者職業センターの職業場面評価(効果推定-0.11)が各段階での職務適合性を評価できる。就業生活支援センターが就職後継続的な職場・本人支援(効果推定-0.06)として段階変更のタイミングを継続的にモニタリングできる。