認知補助ツールキット / Package 05

本人中心を、同じ一週間で読む

本人中心は、本人の希望だけを聞くことでも、支援者が全部を決めることでもありません。希望、健康時間、仕事内容、環境、支援、制度接続を同じ一週間に置くと、本人の意思と実装条件を同時に守れます。

使い方: ケース会議や面談準備で、本人の言葉、仕事の条件、健康時間、支援の接続を一枚の週間地図へ並べます。

ICF相互作用を仕事場面へ戻すインフォグラフィック

USE CASE / 使う場面

このキットで、何を場に残すか。

対象

本人中心支援、ケース会議、就労選択支援、職場復帰支援に関わる支援者・企業担当者

時間

45分ケース整理 / 60分研修ワーク / 面談前15分準備

持ち帰るもの

本人の希望、健康時間、仕事内容、支援、制度接続を同じ一週間に置いたケース地図

QUICK START

最初の一声: 本人の希望をそのまま置く

できる・できないに変換せず、本人の言葉を左上に置く。

TOOL FLOW / 図解からワークへ

図解で入口を開き、場面でそろえ、印刷3枚で一手を残す。

1. 図解

ICF相互作用を仕事場面へ戻すインフォグラフィック

最初に全員が同じ絵を見て、話題の入口をそろえる。

2. 場面

「働きたい。でも週後半がきつい」。本人の希望と仕事条件が別々の紙に分かれている。

抽象語を、具体的な仕事場面と複数の声へ戻す。

3. ワーク

同じ一週間の地図 / ICF接触点カード / 次に聞く3問

最後に、会議や研修で記入できる紙として持ち帰る。

ROOM SET / 会場に置くもの

説明を聞く前に、机の上に道具を置く。

左側

本人の言葉をそのまま置く。できる・できない、意欲がある・ないへ変換しない。

中央

一週間の仕事、通院、移動、休息、家事、相談を同じ時間軸へ並べる。

右側

次に聞く3問を、本人、職場、支援・制度に分けて残す。

KIT MAP / このキットに入っているもの

入口、比喩、場面、構造、ワーク、読み下しを一つにする。

読み 1

止まりやすい見方

本人中心を、希望の尊重だけ、または支援者の善意だけで説明してしまう。

読み 2

専門チームの読み

本人、仕事、環境、支援、時間、制度が同じ週の中でどう接触するかを見る。

読み 3

道具の役割

同じ一週間の地図、相互作用カード、確認問いリストで、決めつけずに次の問いへ進む。

SCENE / 場面のリアリティ

「働きたい。でも週後半がきつい」。本人の希望と仕事条件が別々の紙に分かれている。

止まりやすい終わり方

「本人の意欲はある」「体調が不安定」で止まると、希望も実装条件も粗くなる。

読み替え

希望、活動、参加、環境、支援、時間を同じ一週間へ置き、本人中心を本人責任にしない形で読む。

本人

「働きたい気持ちはある。けれど木曜以降は回復に時間がかかる」

企業

「週5日の求人条件をどこまで変えられるか分からない」

支援者

「希望を尊重したいが、職場条件との接点をどう作るか迷う」

生活・制度側

「通院、収入、生活リズムが同じ週の中でつながっている」

FILLED SAMPLE / 記入例

記入例: 週後半に回復時間が足りない

本人の言葉
働きたい。けれど木曜以降は疲労が抜けにくく、金曜の報告が重い。
同じ一週間で見ること
火曜通院、水曜会議、木曜締切、金曜報告が回復時間を圧迫している。
環境・支援の接点
上司への相談タイミング、報告締切の粒度、通院週の予定調整。
次に聞く3問
本人: 回復に必要な時間。職場: 締切変更の余地。支援: 共有範囲と相談線。

記入例は判断例ではありません。参加者が「どの粒度で書けばよいか」をつかむための人工的な例です。

FACILITATION / 進行台本

進行者が、そのまま読んで進められる形にする。

時間
進行
進行者の声かけ
残すもの
0-7分
本人の希望をそのまま置く
できる・できないに変換せず、本人の言葉を左上に置く。
本人の言葉が残る
7-18分
一週間へ並べる
勤務、通院、移動、休息、家事、相談を曜日で並べる。
週地図ができる
18-32分
ICF相互作用へ戻す
心身機能、活動、参加、環境、支援、制度がどこで接触するか線を引く。
接触点が見える
32-45分
次の問いにする
結論ではなく、次回までに確認する3問へ落とす。
確認問い3つが残る

PRINT SET / 印刷して使う3枚

説明を、会議で書ける紙に変える。

同じ一週間の地図

本人の希望と健康時間、仕事内容を同じ紙に置く。

本人の言葉
仕事の予定
通院・回復時間
相談できるタイミング

ICF接触点カード

分類ではなく、相互作用として読む。

心身機能
活動
参加
環境
支援
制度

次に聞く3問

結論を急がず、見立ての解像度を上げる。

本人に聞くこと
職場に聞くこと
支援・制度に聞くこと
次回確認日

CARD DECK / 場で使う問いカード

迷った時に、場を戻す短い問い。

希望を条件に翻訳する

「その希望が働く場で成立する条件は何ですか」

希望を弱めず、実装条件へつなぐ。

週で見る

「何曜日・どの時間帯で負荷が重なりますか」

点ではなく周期で見る。

本人責任にしない

「本人が説明し続けなくてもよい仕組みはありますか」

本人中心を本人負担に変えない。

VISUAL / 中心図解

まず、見える形にする。

ICF相互作用を仕事場面へ戻すインフォグラフィック

ICF相互作用を仕事場面へ戻すインフォグラフィック

この図は判断ではなく、会議や研修で同じ場面を思い浮かべるための入口です。

人が先のジャケット画像

音の入口: 人が先

文章を読む前に、テーマの空気を変える入口として使います。音は判断や助言ではなく、話し始めるための補助です。

読み下しテキスト

図を見ない人にも、同じ意味が伝わるように、各ページに言葉で追える説明を置いています。

視覚情報だけに頼らず、会議で読み上げられる文章として使います。

READ DOWN / 読み下し

図・音・カードの意味を、言葉でも守る。

このパッケージの本人中心は、本人の希望だけを聞くことでも、支援者が全部を決めることでもありません。同じ一週間で、希望と条件を同時に守るための地図です。

注意を開く

入口カード: 「本人中心」は、本人だけを見ることではない。

本人の希望は中心に置く。ただし、その希望が働く場で成立する条件も同じ地図に置く。

希望と条件を分けると、本人の意思も、職場の実装も、どちらも弱くなる。

比喩でつかむ

一週間を、交差点として見る。

月曜の通院、火曜の会議、水曜の疲労、木曜の締切、金曜の評価。

それぞれ別紙にするとつながりが消える。同じ一週間に置くと、どこで詰まるかが見える。

場面で見る

面談で出やすい3つの断片。

本人: 「働きたいけれど、週の後半がきつい」

職場: 「いつ相談すればよいか分からない」

支援者: 「本人の希望と求人条件をつなぐ言葉が足りない」

構造に置く

ICFを、仕事場面の相互作用へ戻す。

心身機能: 変動、疲労、痛み、集中、回復

活動: 作業、移動、会議、報告、休憩

参加: 役割、評価、成長、関係性

環境: 職場、支援、制度、家庭生活

個人因子: 希望、経験、説明したい範囲

手を動かす

同じ一週間の地図。

左列に本人の希望を書く。

中央に一週間の仕事・通院・回復時間を書く。

右列に共有する情報、相談先、試す変更を書く。

最後に「次に確認する問い」を3つだけ残す。

読み下しで守る

本人中心を、本人責任にしない。

本人中心は、本人に全部説明させることではありません。

支援者や職場が、仕事条件へ翻訳する責任を持つ必要があります。

このキットは、本人の意思を聞く入口であり、就労可否や配慮妥当性を決めるものではありません。

BOUNDARY / 境界

このキットは、判断ではなく場面共有の入口です。

個別の就労可否、医学判断、法的判断、合理的配慮の妥当性判断、公開承認済みの知識主張としては扱いません。実際の支援や職場判断では、本人、仕事、環境、支援、時間、制度の具体的文脈を別途確認します。