認知補助ツールキット / 6機能キット 01

見えない病気と働く。

「元気そう」「疲れやすい」「通院が多い」で止めず、同じ一週間を見ながら、時間、情報共有、開示境界、相談線へ分けるための印刷用キットです。

使い方: 注意を開き、比喩でつかみ、場面で見て、構造へ置き、手を動かし、最後に読み下し台本で誤読を防ぎます。結論を急がず、次に確認する仕事条件を一つ決めます。

扱わないこと: 就労可否、医学判断、法的判断、合理的配慮の妥当性判断、個別ケースの正解判定。

見えない負担を背負うバッグパックの図解 体の中の天気予報の図解 見えにくい病気と仕事の摩擦を示す図解

INDEX / 実物へ移動する

6つの機能を、実物で見る。

下の入口から、それぞれの実物へ移動できます。画像は切り抜きではなく全体が見える形で置き、必要に応じて元画像も開けるようにしています。

OPEN / 注意を開く

「元気そう」のあとに、何を見る?

最初の入口は、正しい知識を説明することではありません。よくある一言で判断を止めず、次に見る仕事条件を一つ増やすことです。

「元気そう」

朝の移動、睡眠、痛み、薬、午前会議の負荷を、同じ一日の条件として見る。

「通院が多い」

欠勤回数だけで止めず、通院後の回復時間、締切、代替手順、連絡方法を見る。

「また休み?」

本人の意欲や職場の善悪に寄せず、週の負荷集中と相談線を見に行く。

入口の合図: ここでは結論を出さない。次に見る仕事条件を一つ増やす。

METAPHOR / 比喩でつかむ

見えない荷物と、からだの天気。

見えない負担や体調変動は、文章だけでは伝わりにくい。比喩は、本人の体験を軽く扱うためではなく、仕事条件へ戻すための足場です。

見えない負担を背負うバッグパックの図解

見えないバックパック

通院、痛み、移動、説明疲れ、開示不安は、外から見えにくいまま同時に背負われる。

仕事条件へ戻す問い: どの荷物は、手順、時間、情報共有、相談線で軽くできるか。

体の中の天気予報の図解

からだの中の天気予報

晴れて見える日にも、体の中では痛み、疲労、乾き、感染不安、回復時間が動く。

仕事条件へ戻す問い: 会議、移動、休憩、締切のどこで天気が荒れやすいか。

比喩は診断説明ではありません。病名別に必要な配慮を引くためではなく、仕事条件を確認する入口として使います。

SOUND / 注意を開く・比喩でつかむ

音楽は、判断ではなく入口として使う。

音声とジャケット画像は、複雑なテーマを話し始めるための入口です。ここで結論を出さず、聞いたあとに場面カードやワークへ進みます。

見えない荷物のヒーローのジャケット画像

見えない荷物のヒーロー

見えない負担を、本人の努力物語だけにせず、周囲が気づく入口にする。

からだの天気予報のジャケット画像

からだの天気予報

体調変動を、予定、移動、休憩、回復時間の話へ戻す。

透明なリュックのジャケット画像

透明なリュック

見えない負担と開示境界を、話し始められる比喩として置く。

音楽は助言、制度説明、個別判断ではありません。動画化する場合も、同じ読み下しと境界説明を添えて、場面カードやワークへ接続します。

SCENE / 場面で見る

本人、上司、人事、支援者が同じ場面を見る。

4コマは、病名を覚える教材ではありません。同じ場面を見ながら、本人の体験、職場の制約、支援者の翻訳、次に確認する条件を並べるための素材です。

元気そうに見える場面から見えない負担を考える4コマ教材

元気そうに見える

見る点: 朝の移動、睡眠、痛み、午前会議、説明疲れ。

満員電車と体調のタイミングを考える4コマ教材

通勤とタイミング

見る点: 移動、トイレ、開始時刻、遅刻連絡、在宅・時差の余地。

通院も仕事の条件として考える4コマ教材

通院も仕事の一部

見る点: 通院後の回復、締切、会議設定、評価、共有範囲。

STRUCTURE / 構造に置く

人の問題でも、企業姿勢の問題でも止めない。

場面で見えた違和感を、作業、時間、情報、相談線、評価、支援接続へ置き直します。ここで初めて、次に動かせる条件が見えます。

見えない病気と仕事の摩擦を示す構造図

仕事摩擦

本人の体調と、会議、締切、移動、評価、情報共有がこすれる場所を見る。

治療と仕事を同時に見る構造図

治療・通院も仕事条件

通院や治療を私生活の外側に追い出さず、勤務継続の時間設計として見る。

構造に置く目的は、説明を難しくすることではありません。次に確認する一点、次に試す小さな変更、戻って確認する日を決めるためです。

WORK 01 / 手を動かす

一週間の健康時間マップ

症状名や配慮名を先に決めず、同じ一週間の中で、通院、移動、会議、締切、休憩、回復時間がどこで重なるかを見ます。

見ること
通院・治療・薬
移動・会議・対人負荷
締切・評価・確認
休憩・回復・生活余白
記入例: 月曜に通院、火曜に長時間会議、水曜に月末締切が重なるなら、「本人の疲れやすさ」ではなく、週前半に負荷が集中している可能性を見る。

WORK 02 / 手を動かす

開示境界シート

共有する目的は、病状を詳しく説明することではなく、仕事を進める条件をそろえることです。共有すること、共有しないこと、同意が必要なことを分けます。

区分
この場で扱う情報
言い換え例
仕事上共有する
会議後の回復時間、途中離席の扱い、連絡方法、締切の見直し時点。
「診断名ではなく、会議後に30分休めると午後の作業が安定します。」
本人に確認する
誰に、どこまで、いつ、どの表現で共有してよいか。
「この内容は上司だけでよいですか。人事にも共有しますか。」
この場で扱わない
詳細な病状、治療内容、本人が望まない私生活情報、就労可否の判断。
「ここでは病状の詳しい判断ではなく、仕事上の確認条件に分けます。」

共有してよい仕事条件

共有前に本人へ確認すること

WORK 03 / 手を動かす

同じ場面の会議カード

同じ一週間を見ても、本人、上司、人事、支援者で見えているものは違います。どれかを正解にせず、次に確認する条件をそろえます。

役割
まず見ること
次に確認する問い
本人
体調、回復時間、通院、伝えられる範囲、困る場面。
「何があると仕事が安定し、何は共有したくないか。」
上司
締切、会議、役割、代替手順、日々の確認粒度。
「どの作業なら調整でき、どこはチームで補う必要があるか。」
人事
共有範囲、評価、労務管理、相談線、見直し時点。
「制度説明ではなく、職場が使える確認ルールにできているか。」
支援者
本人の言葉、医療生活情報、職場条件、制度・支援資源の翻訳。
「本人説明と職場の一手の間で、何を翻訳する必要があるか。」
会議の終点: 判断ではなく、次の二週間で試す条件を一つ選び、見直し日を決める。

WORK 04 / 手を動かす

二週間だけ試す変更

大きな制度変更や結論に飛ばず、仕事条件として試せる一つの変更を決めます。うまくいったかどうかも、本人の頑張りではなく観測点で見ます。

試す変更

例: 月曜通院の翌朝は、最初の会議を30分遅らせる。

変えないこと

例: 評価基準そのものは変えず、確認時点と作業順だけを変える。

見るサイン

例: 午後の作業ミス、途中離席の回数、本人の回復時間、チームの代替負荷。

見直し日と参加者

例: 二週間後の金曜、本人、上司、人事、必要に応じて支援者。

このシートは合意形成の補助です。本人同意、職場の安全、法務・労務・医療上の判断が必要な事項は、別途確認します。

READ-DOWN / 読み下しで守る

図解を、同じ意味のテキストで読む。

バッグパック図

この図は、本人が弱いという説明ではありません。外から見えない通院、痛み、移動、説明疲れ、開示不安が、仕事条件と同時に動いていることを読む入口です。

守ること: 感動話、病状説明、本人責任への誤読を防ぐ。

天気予報図

この図は、体調を気分として扱うものではありません。晴れて見える日にも、会議、移動、休憩、感染不安、回復時間が重なることを、勤務の条件として確認するための図です。

守ること: 症状名の暗記や病名別配慮リストへの誤読を防ぐ。

仕事摩擦図

この図は、本人と職場のどちらが悪いかを決めるものではありません。作業、情報共有、相談先、評価、回復時間がこすれる場所を見て、次に確認する条件へ分けるための図です。

守ること: 個人攻撃や企業批判へ縮むことを防ぐ。

アクセシビリティ上も、研修上も、図だけで理解させない。図を見られない人、専門語が苦手な人、初めて参加する人が、同じ意味をテキストで追えるようにする。

FACILITATOR SCRIPT / 読み下しで守る

45分で使う進行台本

0-5分

目的を確認する。今日は就労可否や配慮妥当性を決めず、同じ一週間を見て、次に確認する仕事条件を一つ選ぶ。

5-12分

バッグパック図と天気予報図を読む。本人の説明努力ではなく、見えない負担と健康時間が仕事条件と重なることを確認する。

12-25分

一週間の健康時間マップに、通院、会議、締切、移動、休憩、回復時間を書き込む。負荷が重なる場所を一つ選ぶ。

25-35分

開示境界シートで、共有する仕事条件、本人に確認する情報、この場で扱わない情報を分ける。

35-45分

二週間だけ試す変更、見るサイン、見直し日を決める。最後に、医学・法務・労務判断が必要な点を別枠に置く。

終了時の読み上げ文: 「今日決めたのは最終判断ではありません。次に確認する仕事条件と、二週間だけ試す小さな変更です。」